葬儀が終わるとすぐに様々な手続きや届け出が必要となります。それらには期限が設定されているものが多いため事前に把握して不備ないようにしておく必要があります。
今回の記事では葬儀後の手続きについて詳しくご紹介致します。
葬儀後に必要な申請
葬儀後に行うべき手続きは多くの手続きが必要ですので、期限が近いものや準備に時間がかかるものから取り掛かるようにしましょう。手続き期間が短いものから順にお伝え致しますので参考にしてください。
- 年金受給権者死亡届
- ◆提出期限:国民年金は死亡日から14日以内・厚生年金は死亡日から10日以内
- ◆手続き場所:国民年金は住所地の市町村役場・厚生年金保険は社会保険事務所など
- ◆持ち物:年金受給者死亡届・故人の年金証書・死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本や死亡診断書のコピーなど)
- ※原則として日本年金機構に住民票コードを登録している人は死亡届の提出は省略可能
- 故人が年金を受給していた場合には年金受給を停止する手続きが必要です。手続きが遅れて死亡後も年金が支払われていたらその分を返還しなければなりません。また、未支給分の年金は生計を共にしていた遺族が受け取ることができますので年金受給の停止と併せて手続きを行いましょう。
- 国民健康保険の脱退
- ◆提出期限:死亡日から14日以内
- ◆手続き場所:市区町村の国民健康保険窓口
- ◆持ち物:国民健康保険異動届(資格喪失)・国民健康保険証(原本)
- 住民票の抹消届
- ◆提出期限:死亡日から14日以内
- ◆手続き場所:市区町村役場の戸籍・住民登録窓口
- ◆持ち物:届出人の印鑑と本人確認ができる証明書類(免許証やパスポートなど)
- 死亡届の提出により自動的に処理されますが、故人が世帯主であった場合のみ世帯主変更届の提出が必要となります。
- 介護保険資格喪失届
- ◆提出期限:死亡日から14日以内
- ◆手続き場所:市区町村の福祉課などの窓口
- ◆持ち物:介護保険資格喪失届・介護被保険者証
- 65歳以上または40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた方が死亡した場合は介護被保険者証を返還しなければなりません。
- 雇用保険受給資格者証の返還
- ◆提出期限:死亡日から1ヶ月以内
- ◆手続き場所:受給していたハローワーク
- ◆持ち物:受給資格者証・死亡診断書(死体検案書)・住民票など
- 故人が死亡時に雇用保険を受給していた場合に手続きが必要となります。
- 所得税準確定申告・納税
- ◆提出期限:死亡日から4ヶ月以内
- ◆手続き場所:住所地の税務署または勤務先
- ◆持ち物:死亡した年の1月1日から死亡日までの所得の申告書・生命保険料の領収書・医療控除証明書類など
- 納税者が死亡した場合に相続人によって行われる確定申告を準確定申告といい、被相続人の死亡した年の所得税を申告・納税する手続きです。
- 生命保険の死亡保険金請求
- ◆提出期限:死亡日から3年以内
- ◆手続き場所:契約会社の請求窓口
- ◆持ち物:死亡保険金請求書・保険証券・最後の保険料領収書・保険金受取人と被保険者(故人)の戸籍謄本・死亡診断書・受取人の印鑑証明書
- 故人が生命保険に加入していた場合、請求によって死亡保険金が支払われます。
以上が提出期限は長いですが行うべき手続きです。ここからは相続に関する手続きや相続が確定した後に行うべき手続きをまとめてご紹介致します。故人が生前所有していた不動産や自動車所有権になど相続財産とみなされるものもありので、名義変更には遺産相続の手続きが前提になる場合もあるので手続きには注意してください。
- 自動車所有権の移転
- ◆提出期限:開始後15日以内
- ◆手続き場所:陸運局支局
- ◆持ち物:所有権移転申請書・自動車検査証・被相続人(故人)の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本・相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書(陸運局所定の用紙)・相続人の委任状・自動車税申告書・手数料納付書・車庫証明書など
- 自動車は相続財産(遺産)となる動産です。遺言書や遺産分割協議によって相続人を確定し、所有権を故人から相続人に移転します。
- 相続放棄
- ◆提出期限:相続開始後3ヶ月以内
- ◆手続き場所:家庭裁判所
- 相続放棄とは相続人が被相続人の財産及び債務について一切の財産を相続しないことを指し、被相続人の債務の負担を免れることも可能です。詳しくは別記事にて改めてご紹介いたします。
- 相続税の申告
- ◆提出期限:相続開始を知った日から10ヶ月以内
- 被相続人の遺産に対し相続税がかかる場合は相続人全員が相続税の申告をしなければなりません。相続税は相続人1人1人が実際に取得した財産に対し相続税が算出されますから申告期限までに遺産分割協議が相続人の間で整っていることが前提となります。
- 相続税の納付
- ◆提出期限:相続開始を知った日から10ヶ月以内
- 相続税を納付するには現金納付の他、延納や物納による方法もあります。
- 不動産の名義変更
- ◆提出期限:相続確定後速やかに
- ◆手続き場所:地方法務局
- ◆持ち物:登記申請書・被相続人(故人)の戸籍謄本・故人の除籍謄本・改製原戸籍謄本及び住民票除票・相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書・相続する人の住民票・遺産分割協議書
・固定資産評価証明書 - 故人が所有していた土地や建物などの不動産を相続する場合は登記簿を名義変更します。
- 預貯金の名義変更
- ◆提出期限:相続確定後速やかに
- ◆手続き場所:各金融機関窓口
- ◆持ち物:名義変更依頼書・被相続人(故人)の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本・相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書(コピー)・通帳
- 故人名義の預貯金口座は死亡届が受理された直後から相続が確定するまでは事実上凍結されますので遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、口座の名義人を相続人に変更します。預貯金額に基づいて相続人には相続税がかかり死去から10カ月以内に申告・納税しなければなりません。
- 株式の名義変更
- ◆提出期限:相続確定後速やかに
- ◆手続き場所:証券会社または株式発行法人
- ◆持ち物:株式名義書換請求書・株券・被相続人(故人)の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本・相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書・遺産分割協議書
- 故人名義の株式は、死亡届が受理された直後から売買ができません。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら株式の名義人を故人から相続人に書き換えます。
これら以外にもクレジットカードの解約や加入電話および各種公共料金の名義変更、パスポート・運転免許の返納などの手続きも忘れないようにしましょう。また、遺族に対して金銭が支給される制度は様々な種類がありますから故人が加入していたものを把握しておく必要があります。民間の生命保険金なども早めに請求した方が良いでしょう。
葬儀前の手続きや届け出
葬儀後に行うべき手続きをお伝えしてきましたが、ここからは葬儀の前にしなければならない届け出や手続きについてお伝え致します。葬儀の前にしなければならない届け出や手続きは死亡届・死体の火葬埋葬許可申請です。この二つは一般的に葬儀会社が代行しますので遺族の方が行う機会は少なく、届出人と代行者の印鑑が必要というだけになるのですが、内容について簡潔にお伝え致します。なお、死亡届と火葬許可申請書は保険金や遺族年金などの請求時にも必要になりますので多めにコピーをとっておくと安心です。死亡届とは本人の死亡を証明する公的な証明書のことで、この届出が受理されて初めて住民票に死亡が記載されます。お亡くなりになったら医師などから死亡診断書が交付されるのでそれを届け出ることで死亡届を受け取ることができます。火葬許可証とは、死亡届を提出する際に自治体が交付する火葬を認める許可証のことで、死亡届がなければ火葬許可証が受け取れず火葬をすることはできません。提出期限は死亡を知った日から七日以内・手続き場所は死亡地か本籍地もしくは届け人の本籍地のいずれかの市町村役場となり、亡くなった方の住所地の役場では提出はできないので本籍地を知っておくことが大切です。必要なものは、死亡届の場合は医師による死亡診断書もしくは警察による死体検案書・届出人の印鑑、火葬埋葬許可申請の場合は死体火葬許可申請書となり、届出人になる人は亡くなった人の親族・同居人・家主、地主、家屋管理人、土地管理人・同居していない親族、後見人、保佐人、補助人となります。