家族葬ならではの悩みとして誰を呼ぶべきなのか・呼ばなかった方への訃報連絡を失礼のないように伝えるのはどうしたら良いのかと悩む方がいらしゃるのが実状です。不要なトラブルを避けるためには失礼のない振る舞い・気遣いが必要になります。
今回の記事では、家族葬でのご近所対応について詳しくご紹介致します。
家族葬とご近所対応
まず、初めに家族葬について簡潔にお伝えします。家族葬とは近親者やごく親しい間柄の方のみで葬儀を行い、後日改めて本葬などを行うことなく小さく完結する葬儀形態のことを指します。各家庭の事情に応じ柔軟に縮小させるのが主な特徴で、小規模な葬儀が全般的に家族葬と呼ばれる傾向にあります。
家族葬を行おうとしている場合ご近所の方への参列辞退は基本的に失礼にはあたりません。故人との親交がさほどない方であれば尚更で、その様な点も家族葬の利点のひとつともなっています。ですが葬儀以外の必要事項は伝えておくようにする必要はあります。故人が亡くなった旨に加えて近隣での生活や自治活動に参加できなくなる旨を知らせておくことは必須事項です。また、人や業者の出入りが予想される場合には予めその旨も伝えておくようにしましょう。葬儀の中での配慮は必要ありませんが、今後のご近所付き合いに影響を及ぼさない程度の事前通達は必要です。
参列辞退を伝える手段
家族葬を執り行う際に最も悩む点とされるのが、参列辞退をお願いする手段についてです。参列辞退のお願いの注意点やポイントを事前に抑えておけばトラブルなども事前に防げますので覚えておくと良いでしょう。
参列辞退お願いの手段として一番代表的かつ容易な方法が口頭や文章上となりますが、どちらでも共通して大切になるのが「家族葬が故人や遺族の意向によるもの」だという旨を伝えることです。その際に大人数の話し合いで決まったというような言い方では誤解を招く恐れがありますから、あくまでも家族葬では関係者が少なくなるという点を踏まえ「故人や遺族の意向によるもの」としましょう。はっきりと要望があってという旨を伝えることができれば相手も納得できますし、辞退する側も気をもまずに済みます。近隣の方への配慮として有効な方法は、自治体や町内会で代表を務めておられる方を通じてお知らせするのも良いでしょう。代表の方と連絡がつけられない場合にはなるべく相互に連絡がとれる余裕のある方を通して頼んでおくと良いでしょう。また、参加辞退の旨の他には香典をしっかり断っておくことも重要になります。参列を断った場合でも、せめてもの心遣いとして香典を準備して送ろうとする方は少なくありません。それらのお返しを含めた手間を省略できるのが家族葬ですから、連絡不足により誤解が生じると本末転倒なこととなってしまいかねません。ですから参列辞退の連絡の際には香典も辞退する旨を明確に伝えておきましょう。
基本的に葬儀においてはご遺族の事情が優先されるべきですが、心情的に参列が叶わないことを悔やまれる方やどうしても参列したいという方もいらっしゃいます。それらをただ断るだけにしてしまうと不信感を抱かれる場合もあり、後のご近所付き合いに支障をきたすという事に繋がりかねません。そういった心配が予想される方に対しては、後日改めて弔問ができる機会を伝える配慮をしておくと良いでしょう。事前に遺族側から対応可能な時間を伝えておくと相手の方も安心して適切な時期に弔問に臨むことができます。
ここからは参列辞退をお願いする例文を、家族葬の参列辞退のお願いの例文・葬儀の後の通知状の例文にわけてお伝えしますので参考にして下さい。
- 家族葬の参列辞退のお願い(挨拶状)
(続柄) (故人の氏名)儀 (闘病生活を送っておりましたが等の簡潔な近状) 〇月〇日に死去いたしました
なお葬儀に関しまして 誠に勝手ながら故人の遺志により 家族葬として執り行うことにいたしました
つきましては葬儀へのご参列 献花 お供え ご香典のほうは辞退させていただきます
非礼をお詫びするとともに (続柄や名前)が生前にいただきましたご厚情に 謹んで深く感謝を申し上げます
ケースとしては稀ですが、葬儀の前に挨拶状を送る場合は以上が例文となりますので此方をご自身の状況に合わせて書き換えてください。なお家族葬を行うという事がご遺族間の相談で決まったとしてもそのまま伝えると怪訝に思われる場合がありますので、「故人の遺志により」としておくとトラブルを避けやすいでしょう。参列辞退を促す文章を書く際には、葬儀の日時と場所を記載しないのが意図を示しやすい方法となります。参列を願い出る文章と区別をつけておくと、混乱を招く可能性も減りますのでおすすめです。また、ほとんどの場合には挨拶状を送らず葬儀の後に通知状を送ることになると思います。その場合の例文は以下の通りです。
- 家族葬の事後通達(通知状)
(続柄) (故人の氏名)儀 (闘病生活を送っておりましたが等の簡潔な近状) 〇月〇日に死去いたしました
生前の御厚誼に感謝し 謹んでご通知申し上げます
なお 誠に勝手ながら故人の希望により 葬儀は○月○日に内輪で執り行いました
お供え物 ご香典につきましても 故人の遺志によりご辞退申し上げます
ご報告が遅れたことを 心よりお詫び申し上げます
甚だ勝手ではございますが 何卒ご了承いただきたくお願い申し上げます
いつに亡くなったか・生前にお世話になったことへの感謝・辞退の旨を書くのは家族葬の参列辞退のお願いと同じですが、通知状の場合には葬儀の事後報告とお詫びを添えると理想的な文面となります。遺族側から挨拶状や通知状を出す場合には句読点は使わずに空白で対応するのがマナーとなります。
また、連絡がうまくいき届かず予期せぬ参列者が訪れる場合も想定されます。各々の事情が異なり非常に判断の難しいところですが、このような事態になってしまった場合には家族葬であることを改めて伝え配慮して去っていただくか、最低限の参列を許可するかで見極めることとなります。式場で予定していた人数の都合もありますので、参列を受け入れるにしても限度があります。誤解させたことをお詫びしつつ正直に正式な案内はできないことという事を丁寧に伝え、手早く可能な対応を提示してどうされたいかを伺いましょう。相手の方にも悪意はなく純粋に参列したいという思いで来られる方が多いです。あまりにも無理にお断りすることは失礼にあたりますので特別な注意が必要となります。
葬儀が無事終わったら、近隣への事後報告・挨拶をくまなく行っておく必要があります。普通の葬儀であれば直接話さずとも外からある程度察することができる場合が多いのですが、家族葬は気づかれない場合も多いので相互確認が大切になります。
家族葬の知らせを受け取った側
最後に、施主側ではなく家族葬の知らせを受け取った側の対応についてお伝えしていきます。遺族の方々は精神的な落ち込みがあるだけでなく、準備や対応などで葬儀前から大変慌ただしくしています。ですから通知を受けた際はなるべくその通知状の情報をもとに判断することとなります。判断材料となるポイントとしては、案内状である場合は日時と場所・葬儀社の連絡先などがしっかりと書かれますので、情報が不足している場合は辞退のお願いとみなしましょう。また、ご自身だけでの判断が難しい場合には相談できる方がいらっしゃる場合には、話をして検討してみるのも良いでしょう。家族葬の通知自体あまり多く出されるわけではありませんので、むやみやたらに聞きまわるのではなく自分を含め受け取った方と故人との間柄などを鑑みると判断しやすくなります。また、連絡自体がない場合は参列は必ず辞退しておきましょう。直接葬儀の場で弔えない無念さはありますがご遺族の意向や負担を考慮して大人しくしておくのがマナーといえます。参列できなかった場合には葬儀の形が違っても、お悔やみの挨拶をするのは同じですから、わざわざご遺族へ挨拶しに出向かう必要はありませんが、知らせを受け取ってから最初に面したときには相応に状況が考慮された挨拶が望ましいです。弔意に相手を慮る一言を添えるといいでしょう。家族葬は比較的閉じられた葬儀となりますが、その後一切の弔問を拒否するという意思表明ではありませんから、あらかじめ親族に連絡を入れご遺族の都合に合わせて弔問させて頂くという選択肢もあります。