コロナ過で大切な方をお見送りするのに親しい友人やお世話になった会社関係の方々に参列して頂くことが叶わず、供花を頂く機会が増えている一方で家族葬での供花のお返しは特に決まりがないのでどうすれば良いのかが分からない方も多くいらっしゃるのが実状です。
今回の記事では、家族葬で頂いた供花のお返しについて詳しくご紹介致します。
供花のお返し
まず初めに、家族葬での供花に対しお返しは必要かどうかという問題ですが、この問題に関してはいくつかの考え方があります。実際、供花のお返しに関しては明確な規定が存在しないので「お返しは不要でお礼状をのみ送ればよい」「供花はお供えの一種なのでお返しが不要」「余程高額でない限りはお返しは不要」などといったように人によっては考え方が違ったりしますので、どのようにすべきか迷う方も多いということ実状に繋がるのです。しかし、何もお返しをしないという選択肢はあまりおすすめしません。返礼不要の記載がない限りは何か些細な品でもよいのでお礼状と合わせて送ると相手の方にお礼の気持ちがより一層伝わりますし、供花を送る方の中には葬儀に参列できない代わりとしてと考えていらしゃるの方もいらっしゃいますから、そのような心配りに対して何かお返しをするというのは自然なことです。お礼状とちょっとしたものでよいので感謝の気持ちとして品物をお送りするとよいと言えるでしょう。
供花のお返しで適切な品物は基本的に法事のお返しや香典返しと同様に考えて問題ありません。一般的に「消え物」と言われる消費できて形に残らないようなものがおすすめです。具体的には「お茶やコーヒーなどの飲物・お菓子や海苔などの食べ物・そばやうどんなどの乾麺・入浴剤や洗剤などの生活品など」が挙げられます。消え物が良いとされているのは「不祝儀を後に残さない・悲しみや不幸を消す、洗い流す」などの考え方に基づくと言われている為です。また消え物ではないのですが、「不幸を拭い去る・悲しみを覆い、包み込む」などの意味があるタオルもお返しの品物としてよく選ばれています。
お返しの相場に関しても明確な定義は無く、地域や親族の慣習などによって様々なものとなります。一つの目安としてお伝えできるのは、一般的な香典返しと同様の金額である「頂いた供花の三分の一から半額程度」を目安にするとよいという事です。この際に親族や身内からの供花へのお返しはお伝えした相場より多少低くとも失礼にはあたりません。また、香典と供花を両方いただく場合もありますから、そういった場合にはそれぞれに対して別々にお返しを用意する必要はなく二つを合算した金額を基準にしてお返しの品物を選ぶと良いでしょう。
お礼状の書き方
家族葬で供花をいただいた場合、返礼不要の記載がない限りは何か些細な品でもよいのでお礼状と合わせて送ると相手の方にお礼の気持ちがより一層伝わると先にお伝えしましたが、供花への感謝の気持ちを示す為に送るお礼状にはいくつかポイントや注意点があります。まずはお礼状に書くべき内容ですが代表的なものは
- 供花を頂いた事に対しての感謝の気持ち
- 供花を受け取り霊前に飾らせていただいた事の報告
- 「略儀にて失礼ながら」などの言葉と挨拶
となります。お礼状は遺族の感謝の気持ちを伝えると同時に供花を受け取り滞りなく葬儀が終了したことを報告する為の物でもありますから、伝えるべき内容を簡潔にまとめて漏れのないように書くように心掛けましょう。また本来であれば直接お会いしてお礼を伝えるのがもっとも適切な方法です。しかし、近年ではコロナ禍という事もありますし、それに限らず現実問題としても葬儀後に各々に直接お会いしお礼を伝えることは難しいことでしょう。そこで、本来であれば直接お会いしてお礼を申し上げたいという気持ちを表すことが大切になってきます。お礼状の最後に「略儀にて失礼ながら謹んでご挨拶申し上げます」等の一文を添えるのと気持ちをうまく伝えられるでしょう。お礼状を書く際の注意点としては、
- 拝啓、敬具を書く
- 句読点をつけない
- 縦書きで書く
- 忌み言葉は使わない
となります。供花のお礼状には拝啓や敬具に関しては不要という考え方もあるようですが、お礼状は相手を敬って出すものなので拝啓や敬具を書くことをおすすめ致します。葬儀におけるお礼状の最も特徴的な点のひとつとして句読点をつけないことが挙げられます。横書きか縦書きかについては一般的には縦書きがよいと言われていますので、縦書きにした方が無難でしょう。忌み言葉を使用しないように気をつけましょう。忌み言葉とは葬儀の場においては相応しくなく避けた方が良いとされている言葉です。知らずに使ってしまった場合でも、後々トラブルになる可能性があるので普段何気なく使っている言葉を見直し、事前にしっかりと確認しておきましょう。
タイミングや方法
供花のお返しに適切な品物や価格の目安があるように、お返しを贈る時期には適切なタイミングが存在します。供花と一緒に香典もいただいた場合には、香典返しと同様のタイミングでお返しをするのが一般的となります。香典返しは、後日返す場合や葬儀当日にお返しする場合があります。頂いた香典や供花が高価であった場合や参列されずに香典と供花を頂いた場合には必ず後日改めてお返しをする必要があります。このような場合には忌明け(四十九日)に香典と供花を併せた分のお返しの品物と共にお礼状を添えてお贈りすると良いでしょう。また、供花だけをいただいた場合には、忌明け(四十九日)にお返しの品物と共にお礼状を添えてお贈りするとよいでしょう。ただしどのような場合であっても「返礼品不要」と明確に伝えられていた場合にはお返しの品物を贈らず、お礼状のみをお送りしましょう。お礼状のみを送るタイミングは忌明け(四十九日)前であっても問題はありません。「返礼品不要」とされていても、何の音沙汰もなく礼状も届かなければ失礼な印象を与えてしまいますし、葬儀に参列できずに供花だけ送って下さった方にはきちんと届いているのかと心配をかけてしまうかもしれません。ですから感謝の気持ちを伝える為のみならず相手の方を不安にさせない為にもお礼状は可能な限り早めに、大体葬儀から一週間ほど経ってから送ると良いでしょう。
お返しの品はただ単に送れば良いというものではありません。品物の選び方や送るタイミング以外にも気をつけるべき点がいくつかあります。供花は故人に対する弔慰が込められた大切な贈り物ですから、お返しをする際には失礼のないようにマナーをしっかりと確認しておく必要があります。まず、供花のお返しの品物には必ずのしで包む必要があります。のしと言っても「外のし」と「内のし」がありますから、供花のお返しの場合は弔事に関するものなので控えめにという意味を込めて「内のし」をかけるのが一般的です。宅配で送ることを考えてものし紙が破れたりしないという観点からも内のしが適切と言えます。一般的に、のしの表書きには「志」と書きます。しかし、地域や宗教・宗派によって違う場合もありますから、事前に確認しておき適切な表記で記載するように出来ると安心です。水引に関しては「黒白結びきり」を使うのが一般的です。(関西地方や一部地域では「黄白結びきり」が使われることもあります)
会社から供花を頂いた際に、お返しをする場合の宛名は個別に分けてお返しする必要はありませんから会社名もしくは会社名と代表者名で記載します。故人が所属していた部署単位で供花をいただいた場合には、部署名も記載しましょう。会社からの供花に関してはお返しが必要ないという考えもありますが、感謝の気持ちを示す上でもお返しは用意した方が良いと言えるでしょう。
供花のお返しの際には、お返しの品物だけではなくお礼状も添えるとより丁寧です。また、お礼状を添えることで遺族が供花をきちんと受け取ったことや葬儀が無事に終わったことの報告にもなります。ただ単に品物を贈るだけでは遺族の思いが伝わるとは限りませんから、感謝の思いを文章に記すことによって遺族からの感謝の気持ちがより伝わります。その様な事も含め、お礼状は忘れないようにお返しの品に添えて贈りましょう。